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首里城こぼれ話

 勘違いしている人も多いが、観光雑誌などに掲載されている首里城正殿は世界遺産ではない。世界遺産は城壁(石垣)と周辺の石門、玉陵(たまうどぅん)と呼ばれる陵墓であり、観光のメインとなっている首里城正殿は世界遺産ではない。現在の首里城正殿は1992年に復元されたものであり、正殿に入るとすぐ分かるがエアコン完備で順路の扉は自動ドア、照明は蛍光灯やLED、大半は鉄筋コンクリート製である。(※屋根瓦といくつかの重要な柱は当時の再現という事で当時の素材と同じものを使用してはいる) 城内は首里城の資料が多数展示されている。身も蓋もない言い方をしてしまえば要は城の形をした博物館である。

 

 

美ら海水族館こぼれ話

 本来、美ら海水族館は国営沖縄記念公園と言う公園の一施設に過ぎないのだが、美ら海水族館が人気すぎてその事を知らない人も多い。

 国営沖縄記念公園には美ら海水族館の他にも、無料で泳げる『エメラルドビーチ』、沖縄の文化に触れることができる『おきなわ郷土村』、熱帯植物やランを中心とした植物園『熱帯ドリームセンター』など見どころある施設も充実している為、訪れた際はそれらを回るのもいいだろう。 徒歩でも回ることは可能だが、園内を回るバス(有料)もあるので活用するといいかもしれない。

 ちなみに2003年に正式に命名された美ら海水族館という名称よりも長年親しまれた海洋博の方が地元民には通じやすかったりする。 慣れとは恐ろしいものである。

 

 

食べ物

 

■アンパンマンアイスバー

 アンパンマンと銘打たれているが沖縄のご当地アイス。しかし超メジャーキャラのアンパンマンが使用されている事からご当地アイスであることを知らない県民が非常に多い。アンパンマンアイスと言う名前だが、ミルク風味のラクトアイスコーティングで中身にはチョコが入っているというアンパンマン要素がほとんど感じられないアイスでもある。

ちなみに当たりつき 2017年現在税込み73円。

 

 

■ブルーシール

 元々はアメリカ発祥のアイスクリームメーカー。

現在も県民のアイスとして愛されており、大型店舗も数店存在する。また夏休みになると国道沿いに小さな露店を出して販売が解禁され、そこで地元の学生がアルバイトすることが定番と化している。

 他社のアイスクリームとの味の違いに関しては文章化が難しいので、是非実際に食べていただきたい。

 

■油みそ

  沖縄方言ではアンダンスーと呼ぶ。

  本土の一般的な合わせ味噌に比べ粒が粗く、粘りが強く(気を抜くと割り箸が折れるレベル)、甘いのが特徴。油は主にラードが使われる。また筆者母の出身地である久米島(くめじま)の場合、豚の三枚肉(ばら肉)の脂肪をそのままラード代わりに利用する。その場合味噌の中に肉が入っているのが特徴。

 なお、アンダンスーは基本的に味噌汁には使用せずご飯と一緒に食べる。

 保存状態の問題からか県内のスーパー等で一般的に販売されているアンダンスーに肉は入ってない。しかし、近年は保冷技術の発達、人々の要望により肉が入っているアンダンスーも以前よりは多く販売される様になった。

 ちなみに沖縄方言で油は「アンダ」、味噌は「ムスー」と言い、それを合わせたのがアンダンスーである。そのまんまである。

 

 

■ポークランチョンミート

 缶詰の豚肉。日本国内だとスパムで知られているが、沖縄県内ではポークランチョンミートが主流。また、沖縄県民がポークと呼んだ場合このランチョンミートの事を指している。

その消費量はすさまじく沖縄県内シェア1位を誇るチューリップ・フード・カンパニー社の本拠地であるデンマークの、皇太子が直々に沖縄県に表敬訪問しに来るほど知られている。

沖縄全体に広がった理由としてはまず比較的リーズナブルな値段である事、また高温多湿な沖縄でも鮮度が保てる缶詰加工形式だからと言われている。

食べ方は色々あるが代表例としてポークタマゴ油みそおにぎりを挙げる。

具は名前の通り卵焼き、ポーク、そして油みそ(店によっては油みそじゃなくケチャップでやることも)で、これを米と海苔で包む。一般的なおにぎりに比べ具が大きいのも特徴の一つ。これは県内各所のコンビニで200円程度で購入できる。

 

 

■ルートビア

 ルートビアは沖縄の人気ハンバーガーチェーン店A&Wの看板メニュー。癖の強い味で有名で、苦手とする人はサロンシップの味と表現するほど。なお、「お前サロンシップ食った事あるのかよ」までテンプレ。ルートビアは地元のスーパーでも50円前後で買えるのでKPは留意すると面白い事にできるかもしれない。ルートビアと言う名前だがこれは酒ではなくただの炭酸飲料でアルコールは一切使われていなく、味はバニラアイスのように甘い。何故ビアなのかと言うと禁酒法時代に酒の代替品として販売されたという経緯によるもの。

 

 

■氷ぜんざい

 一般的なぜんざいと言えば冬の定番で温かいものだが、沖縄の場合はぜんざいにかき氷を乗せる。その上から練乳をかけるか黒砂糖をかけるかが主流な為、県民にとってぜんざいは涼むためのおやつである。シナリオ本編では「氷」ぜんざいと表記したが、これは一般的な呼び方ではなく、一般的には「ぜんざい」と呼ばれている。

 本土で一般的な温かいぜんざいは「ホットぜんざい」と呼んで差別化している。

 

 

■固い豆腐

 豆腐と言えば柔らかい食材の代表だが沖縄の豆腐はやや固い。

 具体的に言うとパックに入れず袋で販売し持ち歩いても立方体の形は崩れない程度には。

 これは沖縄の水が本土に比べ硬水だからと言う説が一般的。

 なお、筆者はこの豆腐が好物で、ゴーヤーチャンプルーに使用されている豆腐は程よく他の食材の味が染み込んでいるため特に好物である。

 

■パパイヤは野菜?

 パパイヤと言えばトロピカルフルーツとして知られているが、沖縄の場合デザートとして楽しむフルーツ用パパイヤとは別に野菜用のパパイヤも存在する。ちなみにタイでも実際に特産料理の材料として愛用されている。

野菜用のパパイヤはグリーンパパイヤとも言う。

 グリーンパパイヤは熟させてもフルーツにはならないので、もし沖縄でパパイヤを購入する際は確認した方が良いだろう。

 沖縄では主にチャンプルーの具材として使用されており、フルーツほどの甘さこそないがそれでもほんのりと甘みを感じる味と言われている。

 

 

■オリオンビール

 日本復帰前から地元で愛されてきたビール。

 トレードマークが星3つなので三ツ星ビールと呼ばれることも。

 味は他のビールに比べ辛みは控えめで後味はスッキリしていて飲みやすいとのこと。

 工場は名護市にあり、現在はアサヒビールとの提携も行っている為、アサヒ製品も手掛けている。

 

 

■泡盛

 沖縄に古くから愛される地酒。蒸留酒。度数は25~30程度。

 14世紀後半貿易していたタイの蒸留酒が元と言われている。

 3年以上寝かせた泡盛は古酒(くーす)と言われ愛されている。

※現存する中で最古の古酒は首里の識名(しきな)酒造にて保管されている150年もの

製造元は50近くありそれぞれ味や香りが微妙に異なるが、人気ブランドの1つ『久米島の久米仙』の場合匂いは強めで甘さは控えめ。

県民は日本酒との差別化の為『シマー』と呼ぶ。

 

 

■ゴーヤーなどチャンプルー

 チャンプルーとはいろんなものが混じった状態を指す。

 つまり、手持ちの食材を混ぜて炒めればそれは全てチャンプルーとなる。

 混ぜた食材のメインでチャンプルーの名称が変わり、有名なチャンプルーだとゴーヤーチャンプルー、とうふチャンプルー、フー(麩)チャンプルー、ソーメンチャンプルーと言ったところ。

 なお、本土ではよく「ゴーヤ」と表記されたり発音されたりするがそれは誤りであり「ゴーヤー」が正しい。割とそこはこだわるポイントなので注意したほうが良いだろう。

 ちなみにゴーヤーチャンプルーは沖縄の人でも苦手な人は苦手。得てしてそういうものである。

 

 

■飲み会の〆はステーキ?

 よくテレビなどマスコミが沖縄県民は飲み会の〆にステーキを食べるという風に紹介するがこれは比較的近年に見られるようになった現象。

 これには理由がある。本編でも少し触れたが、沖縄のステーキハウスは比較的リーズナブルでボリューミーな為、観光客にも大人気である。ガイドブックで紹介されたり口コミで広がったりして観光客の多くがステーキハウスを訪れるようになる。それはつまり夕食時など一般的な食事時間は人がいっぱいとなる。となると県民は時間をズラさないとステーキを食べに行けないので深夜にズラす。それまでは飲み会を楽しむという流れが自然発生的に生まれたのだ。

 

 

その他

 

■先祖崇拝とユタ

 シナリオ本編でも紹介したが沖縄は神様と言う存在とは別に先祖を崇拝している。

 沖縄では死後33年経つとその人は神になると考えられている。

 そのため「先祖が見守ってくれている」という言葉の意味合いが本土でよく見る守護霊的な意味合いとは少々異なる。

 

 ユタやノロは神となった先祖あるいはこれからなる先祖と生者の仲介を務めるのはシナリオ本編でも述べたとおりだが、実はこのユタの素質は女性だけではなく男性も持つことがある。しかし男性はユタになることは出来無いため、男性はユタ以外の仕事に従事する。

 ユタは主に先祖からのアドバイスを生者に伝えることで人々を導く役割があり、占い師やカウンセラーに近いポジションでもある。実際家庭の問題から恋愛相談まで多くの相談を受けることが多いという。具体的に言うと、相談を受けた際、相談しに来た人のご先祖様に「あなたの子孫がこのように悩んでいるけどどうしたらいいでしょうか?」と言った感じでアドバイスを請い、先祖のアドバイスを「あなたのご先祖はこうしなさいと言っている」と伝えるという流れである。

 中にはユタの相談に依存する人も出てしまうほど、沖縄におけるユタへの信頼は大きい。※そのため悪徳詐欺師が出ることもあるが……

 

 

■エイサー

 沖縄に古くから伝わる盆踊りの一種。

 構成としては先頭に立ち地域や団体の名前を記した旗を掲げる旗頭(はたがしら)、メインとなる太鼓打ち(方言ではテークウチ 主に男性)、手ぶら、あるいは小さな鳴り物を持って踊るティモーイ(これは主に女性)、三線を引き歌うジウテー、道化役のチョンダラーが一般的。

 旧盆になると地元の青年隊が家々を練り歩き各地ででエイサーを実演する。(これを沖縄方言でミチジュネーと呼ぶ)

太鼓の大きさは一番大きい大太鼓が直径40~50センチ、高さが43~50センチのもので、これは本土の一般的な祭りでは通常櫓の上で固定して叩かれるサイズだが、エイサーではこれを担いで舞う為、これを持ち舞う人は人気者になりやすい。

他にもスタンダードサイズの締め太鼓は直径30センチの高さ10センチと片手で持ちやすい大きさな為、これを持つ人はよりアグレッシブに舞う事ができる。

 これよりさらに小さいパーランク―と呼ばれる太鼓もあり、こちらは直径21センチの高さ4センチと持ちやすく軽快な舞を披露することができるものとなっている。

今でこそエイサーは沖縄の民族舞踊の象徴だが元々は中部と呼ばれる地方(主に現在の北谷町、沖縄市、うるま市)の農民によるものだった。そのため貴族が多い首里や、漁業が盛んだった那覇や糸満では行われていなかったという歴史もある。

 

ちなみにこれは筆者の友人から聞いた話だが、沖縄の警察は地元の不良や暴走族更生プログラムにこのエイサーを積極的に取り入れている。実際、エイサーの季節になると「暴走族をやめるからエイサー隊に入れてほしい」と頼みに来る不良がいるとかいないとか……

 

 

■海は見るもの?

 「沖縄と言えば海がきれい。あんなきれいな海で泳げるなんて羨ましい」と筆者は本土の人によく言われたが、泳がない事は無いがどちらかと言うとビーチでバーベキューパーティーする方が一般的である。

 『ビーチパーリー』と呼ばれているそれは基本的に飲み会であり、子供以外は滅多に泳がない。基本的に海は見るものと言う感覚なのだ。

 なお、酒の勢いで服のまま海で泳ぐ沖縄県民はいる。というより、ビーチで水着着ないで服で泳ぐ人は大抵沖縄県民と言う認識で構わない(と思う)。

 

 

■台風や不発弾より怖いもの……

 沖縄では度々台風に見舞われるがあまりにも頻繁なもので県民も慣れたもの。レンタルビデオ店やコンビニは台風前になると売り切れが目立つ。また、基本的にバスが休めば会社は休みというルールが暗黙の了解が成立している所が多い為バスが台風の強さを測るバロメーターとなっている。

 また、沖縄戦の影響で沖縄では今でも不発弾が見つかることがある。その際の住民のリアクションも落ち着いており、新聞などの広報を見て爆破処理の時間中ちょっと離れたところに買い物に行ったり自主的に避難指定されている施設に避難しに行ってユンタク(おしゃべり)を楽しんだりすることが多い。

 なお、沖縄では大型の地震が滅多に来ない。震度3以上の地震が来たらそれだけで大騒ぎになるほど。実際2014年に震度4の地震が発生したときは大騒ぎとなった。

 沖縄は大きな地震の頻度が少なく、その為か地震保険の加入者も少ない。

ただし、シナリオ本編でも触れているが全く起きないわけではないのでやはり注意はしたほうが良いのだろうが……

 

 

■唐突に表れるゴリラ

 沖縄自動車道の、沖縄南IC~沖縄北IC間名護向け左側に唐突に表れるゴリラの看板。

 あまりのインパクトの強さに驚く人も少なくない。ただでさえ強いインパクトなのに夜は目が赤く光り、口元が照らされるため下手な怪獣映画のそれよりずっと怖い。

 その正体はラブホテルの看板なのだが、看板の強いインパクトとは裏腹にちょうどIC間にあり、またホテル自体が大通りに面していないためそこまでの道順はあまり知られていない。

 

■3S(スリーエス)

 県内屈指の有名な心霊スポット。

 名の由来はその場の入り口にあるガードレールにSが3つの落書きがされていたからとされている。都市伝説レベルの情報だが行くだけで人が気絶する、肝試しに行った若者が白髪になって出てきた、もしくは発狂して戻ってきたなどの噂が絶えない。詳しい場所は不明。地元民も教えない、知りたがらない人が多い(一応恩納村にあるらしい) 。噂によるとユタが修業を積むための場所らしいが、度々ユタが倒れたという話もある。あまりにも危険な何かを封印するための御嶽という噂もある。

 

 

 

■ゴジラ対メカゴジラ

 1974年公開の東宝特撮映画。福田純監督。ゴジラシリーズ第14作。

 沖縄県とのタイアップで製作された作品で、人気怪獣メカゴジラのデビュー作でもある。タイアップの関係もあって沖縄が主な舞台となっているのも特徴。

 悪役怪獣のメカゴジラが迫っていると言う緊迫した場面で、守護神の目覚めの歌をフルコーラス(3分近く)歌ったり、そもそも沖縄の守護神を目覚めさせる歌が琉球音階ガン無視のムード歌謡だったりとツッコミ所満載ではあるが、怪獣映画としてのクオリティは高く根強いファンも多い。※かくいう筆者もその一人である。

万座毛には沖縄の守護神怪獣キングシーサーが眠っているという設定に、玉泉洞に悪の宇宙人の秘密基地がありそこにメカゴジラが収容されているという設定になっている。

 

 

最後に

 本作ではいわゆる「沖縄とは切っても切り離せないとされる戦争問題・基地問題」を意図的に全カットしている。これはまだ答えが出ていない難しい問題であり、様々な意見があるため議論の火種になりかねない。そのため会話を主とするTRPGの場においては相応しくないという筆者の判断によるものである。

意見や考え方の多様性は否定しないが、せっかく集まった者同士で楽しくセッションをやっている間ぐらいはその事を忘れて楽しい時間を共有して頂きたいと切に願うばかりである。

​(著 まっきぃ)

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