B-HERO:Legacy
『B-HERO:Legacy』特別号では、8つの主人公たちの特徴的な物語(シナリオ)をバックナンバーとして掲載。レビューとともに素晴らしい物語を振り返りどこで遊べるのかをまとめてある。
まだ見ぬ物語の主人公はキミだ─!
…という設定のDLH5周年を祝う非公式企画だ
[DLH] 12時間
『デッドラインヒーローズRPG』掲載
ザ•カーニバルの女支配人、レディ•マリスが東京の繁華街に毒ガスを散布した。
家族が被害に遭ったヒーローもいる。
マリスは云う。「あと12時間以内に解毒剤を摂取しなければ、皆死ぬ」と。
ヒーローたちに残された時間は少ない。
■みんなマリスに○される!
イリーガルマン
いろんなシナリオやったけど、おれちゃんどうにも記憶処理されてるみたいでどんどん忘れてっちゃうのよね。まぁ、でもこいつは覚えてるみんな初回か二回目にやるやつだよな。初期シナリオらしく、困ったらダイスで決められるようになってるが、合流は個人にぶん投げなところもあるぜ。どのエントリーも魅力的で何度も繰り返し遊びたくなるよな!謎解きなんかじゃないから、好きな映画を何度もみる感覚であそんでいいとおれちゃんはおもうぜ?
長くなったから〆るけど、油断した初心者はみんなあの子のトリコにされるのさ!
■『12時間』に喝采を!
まる
基本ルールブックに掲載されており、最も多くのプレイヤーが遊び、読んだだろう公式シナリオだ。私が初めて“デッドラインヒーローズ”というシステムで遊んだのは、GMとして『12時間』を回した時だ。全員が初めてDLHのシステムに触れる、全てが初めてだけのセッションだった。
その前提の上で、私はこのシナリオの難易度に拍手を送りたい。GMである私自身が、「ヒーロー負けるな!」と手に汗握り応援し、「こんなに追い詰められてもヒーローは勝つんだ!」とヒーローの格好良さにとても興奮した。そして自分でシナリオを書く際にもとても勇気づけられる、そんな『12時間』が私は大好きだ。
Illustrated by: 卯龍
[DLH] オーマイ"バディ"!!
著:とりぞー
ある日キミ達バディに降りかかる事故。一方は目覚めると、全身ボロボロの状態で奇妙な部屋に隔離されており、もう一方は拠点としている場所に謎の宅配物が届く。徐々に明らかになっていくのは、悪辣と暴虐を愛するヴィラン達の「娯楽」。
キミ達はそれを打ち砕き、バディと再会することが出来るのか。
■相棒はいい、真理である。
目玉えぐれ蔵
片割れのピンチに寸でのところで駆けつける相棒は格好いい、そりゃもう真理である。
まさしくタイトル通り、バディとの関係性構築に徹底的に振り切った、極めてストレートなシナリオ。新規キャラクターで遊ぶにせよ、継続キャラクターで遊ぶにせよ、とにかくお前達は何らかの形でバディなのだ、互いに何かしらの感情を向け合っているのだ、それが大前提なのだ、と言わんばかりに振り切った特化型のストーリーは、綺麗にハマった際のエモーショナルな爆発力が凄まじい。ヴィラン達の悪行は徹底的に邪悪に陰惨に描かれ、だからこそ尊い信頼関係の美が光る。
いわゆる『うちよそ』を楽しみたいプレイヤーは、とりあえず遊んでみて損はしないのではないだろうか。
■どんな苦難も相棒がいれば
卯龍
このシナリオは確かにグロい目にもあう、純然たるヒーローものというよりはヒーローピンチものに近い風合いもあります。しかしながらそれは自由なマスタリングとヒーローの出目、そしてプレイヤーとの円滑なコミュニケーションが上手いことやってくれるでしょう。
悪意MAXなヴィランの手でグチャドロな苦境に遭いたい!そして何よりもそれを相棒と乗り越えたいというプレイヤーさん向けの「オーマイ"バディ"!!」。初めましてでもお馴染みの相棒でもしっかり話し合えばとても素敵な相棒との冒険譚やバディヒーロービギニングになるはずです。
──さァ、悪辣な番組をぶっ潰しにいきましょうっ!
Illustrated by: 卯龍
[DLH] 決戦!!!モンスターペアレント!!!
著:まる
モンスターペアレント達と戦えヒーロー!
サイレントサイエンスからはドクター・ドミニオン、ビアシャラ、ネムロンが。メイヘムからはマダム・ヘルとイミテイターが。火獣組からは一角麒麟とユニコーン・一角が。
──各々ややこしい親子の暴走を食い止めろ!
■壮絶な親子喧嘩に“参加”せよ!
とりぞー
キミは親に抗った事はあるだろうか?親に内緒で何かを成し遂げようとした事はあるだろうか?そして、壮絶なぶつかり合いを起こした事はあるだろうか?このシナリオでは火獣組、メイヘム、そしてサイレント・サイエンスという、様々な形で描かれる「親子」の喧嘩にPCが参加して止めるという物語が描かれる。
はた迷惑?それとも感動の物語?
その結末はキミ達が見届け、作り上げるのだ!どの組織にも親子の絆が見られるのが美しく、またヒリつく戦闘を楽しみたいPLにもオススメ出来るシナリオだ!
■笹食ってる場合じゃねえ!
次回予告
──そう言わんがばかりの勢いで脱獄したDr.ドミニオンから幕を開け、あれよあれよと怒涛の如くに押し寄せてくるは三組のモンスターペアレンツ。吹き飛ぶグリット、乱舞するダイス、親の心子知らず、子の心親知らず、というかもう少し意思疎通をとってくれ、見せつけられるそれぞれの親子愛はバトルフェイズの形をして息つく間も無くヒーロー達へと襲い掛かる。決戦フェイズに辿り着く頃にはヒーローの心はもはや一つだろう。家でやれ。
世界観は日曜朝アニメのような微笑ましくコミカルなドタバタ劇でありながら、道中戦はなかなかに歯応えのある実にDLHらしい一作。
この怪物的愛情に君は耐えられるか。
Illustrated by: 鋏定規
[DLH] シャイニング ネヴァー ストップ
著:卯龍
ヒーローたちはメイヘムの幹部『ザ・イミテーター』を辛くも退けるも、片割れはを庇ったことにより致命傷を負い、長い悪夢とささやかな覚醒を繰り返している。そして、庇われたヒーローはその相棒の顔に不穏な徴を見て、どんな手を使ってでも、相棒を眠りの世界から取り返すことを決意する。
──トラウマとして心に突き刺さり続ける「悪夢」と「謎の少女」。瞬きのうちに悪夢へと引き戻される深い眠りからキミたちは再び立ち上がることができるのか…?!
■設定で遊ぼう!
まる
─相棒と共に事件を解決する、それもまたヒーローの形だ。実際に何度も一緒のシナリオに出陣して縁が深いPC同士が生まれることもある。
そんな縁を深掘りしながら、降りかかる困難に対峙する面白いシナリオです。設定を作り、またシナリオで設定が生え、そしてそんな背景のあるヒーローはクエリーにどう答えるか?どんなリマークを行なうか?というのはデッドラインヒーローズの楽しさだと思います。PCの設定を深掘りし、それに対してもう一人のPCは何を思いどう反応するのか、更にそれを受けてPCは…とお互いに響き合い影響し合いRPする楽しさがたっぷりで素敵です。そして驚きの展開を迎えるシナリオ構成が楽しい!
■ヒーローよ、
今、トラウマに立ち向かえ!
めんだこ
眠りに落ちたPC1は浮上する意識の中、トラウマを模した悪魔と戦い、また相棒であるPC2は PC1を救うために奔走する…そんな王道的とも言える2PLシナリオ。
PC1のトラウマと向き合う際に、PLもまたそのPCの人生観や理想と向き合うことになります。PCの考察や深掘りが得意な方、普段はあまりPCの背景を考えないけどたまにはやってみたい!という方にオススメ。もちろんバディものが好きな人にはピッタリの一作。是非、PC1の数だけある悪魔の世界、残された側のPC2の覚悟をお楽しみください。
Illustrated by: めんだこ
[DLH] デッドライン・ポリス・ストーリー
著:鋏定規
一人の刑事が殺された。
逮捕されたのは、ある盲目の弁護士。
G6のチェインが秘密裏に告げる。
「あの人はヒーローかもしれません」
問われる罪と罰。秩序と正義。善と悪。
ヒーローよ。君は何故、「ヒーロー」を選んだ?
■正義の逆側に在るものとは。
さめ伯
警察モノの作品と聞いて皆さんは何をイメージするだろう。おそらくはわかりやすく派手な勧善懲悪モノのイメージがあるかもしれない。だが、このシナリオにおいてはその色彩が少し異なることを貴方は体感することになるだろう。正義とは何か。作中世界において、分かりやすい正義の価値観であるヒーローという存在があるからこそ、現実において正義の基準である警察という存在へスポットライトを当てるこの作品は一際正義を意識させる。長々と書き連ねてはみたが最終的に言いたいことは簡単だ。鋏定規氏の素晴らしい手腕による最高のシナリオ。断言しよう。すばらしいシナリオだ。ぜひ筆者と同じくこのシナリオを楽しんで、余韻に浸ってほしい。
■実際にあの世界で生きる人々
まる
ヒーローと警察の関係を掘り下げた、何て素敵なハードボイルドシナリオなんだ!と遊んだ際に衝撃を受けました。組織や法、犯罪者とヒーローとヴィラン。群像劇ともいいましょうか、デッドラインヒーローズの世界において実際に日々を過ごしている人々が、みな各々の考えを巡らし、動き、生きている、というPCやNPC達の息吹を感じられるシナリオです。シナリオの構成の上手さ、そして熱い勢いに乗ってもたらされる「なんだってー!?」となる驚き、非常に心地よく面白いです。皆も遊んでこの世界の住人の一人になろう!
Illustrated by: しまうま
Logo: Designed by めんだこ
[DLH] 天秤は揺れる
著:鋏定規
刑務所からインペインと名乗る一人のヴィランが脱獄した。それと同時期、あるヒーローの隣人が、青臭い相談を持ちかける。罪の精算とはいかなるものか。正義とは何に宿るのか。
──ヒーローよ、自分の信じる正義を貫け。
■初心者向け、
王道キャンペーン第1話
満魚 望/マンボウ
「天秤は揺れる」のストーリーそのものは王道だ。狂気と弱さを重ね持つ弱い市民に、救いようのない悪と救えるかもしれない悪がいて、最後にヒーローがまとめて陰謀を打ち砕く。シナリオで強制させるような動きが少ない(シーン制ゆえ、舞台の移動はあるが)ため、ヒーローの設定に即したロールプレイができる。クエリーイベント3が、最も本シナリオの楽しみが詰まった場面だろう。戦闘難易度も低めなため、構築に慣れないプレイヤー相手でも、ヴィランの強さを調整せずに戦える。台詞の量が多めなので、多少状況に応じて差し引く必要はあるが、GMがシナリオを読み込みめば対応できる範囲。入門シナリオとして、非常に良いシナリオだ。
■彼らとの因縁は
ここから始まったのだ─!
ヒーロー《Fantail》
3つのシナリオからなる「天秤は揺れる」キャンペーンからヒーローとなる覚悟を決めた者は私だけはないはずだ。
私の眼前には、救うべき人々と、ヒーローとしての立ち振る舞いを問われる時に魅力的で時に厳しい盤面、そして「インペイン」をはじめとする多くの悪党たちがあった。眼前で繰り広げるあらゆる事件はキミをただの一般人からヒーローへと駆り立てずにはいられないだろう。
ある者は踏破した先でこう言うだろう─これは「超人種差別や歪みをもった世界(バース)を象徴するようなキャンペーン」だと。あるいはある者はこう言うかもしれない、「"彼ら"との因縁は、ここから始まったのだ」と。
Illustrated by: 卯龍
[BJR] プロジェクト・イカロス
著:羽毛 枕
──偉大なるガラテイアの荘厳な計画「プロジェクト・イカロス」を成功させるため、君たちは心臓を増やし、脳を頭よりも安全な体内へ移動させ、遺伝子拡張によりあらゆる恵みを授かった。軍事国家もため息で吹き飛ばす不死身の決死隊、それが諸君ら「ウィンターズ」だ!諸君らの目的は太陽を電磁ソーラーパネルで包み込み、膨大な電力を手に入れることだ。君たちはきっと成し遂げるだろう!そして偉大なるガラテイアは全宇宙へと複製され、君たちの精神はメンタルトラベルにより別宇宙あるいは過去へと渡る!さぁ太陽掌握船「イカロス」へ乗り込み離陸の衝撃に備えたまえ!
■超絶スケール!
破滅の神話がここに
ソロモンエビュアー
休む間もなくエスカレートを繰り返す、あまりに壮大な大暴れを楽しめるのが本シナリオの魅力の一つです。
また、壮大なスケールとは裏腹に登場人物はかなり絞られており、シナリオの方向性も明確と、かなり遊びやすい一本です。
しかしこれらの特徴は、このシナリオが単調で意外性に乏しい内容であることを意味しません。むしろ本作には、PLに厳しい選択を迫る鋭いクエリーや、予想すらできないまさかのクライマックスなど、PLの感情を揺さぶる数々の仕掛けに満ちています。シナリオ作者の確かな意図のもと、巧妙に配置されたそれらの要素は、セッションに緊張と興奮、そして感動をもたらしてくれることでしょう。
■ガラテイアに
狂いたいならコレ
もやし野たけひこ
偉大なるガラテイアの為、自身の野望や悲願の為に命と尊厳投げ捨てたい人におすすめの1作!!
それぞれの思惑が交錯する中…君たちは"プロジェクト・イカロス"を成功させることは出来るのか…!?
そんな熱い展開が待っている!!
最後に笑うのは君達か…それとも…??
Illustrated by: もやし野たけひこ
[BJR] レイド・ゲーム・ジョーカー
著:鋏定規
──日本政府と、日本の国防を担う組織・超人特殊部隊ネバーモア。その会談が己護路島・麻神学園で行われることとなる。要人警護はG6、会場警備はブラックジャケット。
しかしネバーモアの交渉担当者・葬送法師が死体となって発見され、犯人として指名手配されたのは、鐘馗と呼ばれる能面の男だった。日本を舞台に巻き起こる、陰謀撃あり、オカルトあり、銃撃戦ありのレイド風キャンペーン。正義が意味をなくした世界で、悪党たちの饗宴が始まる!
■真相へ向けて、手札を切れ
とりぞー
『レイドゲームジョーカー』は3作セットのキャンペーンシナリオで、ひとつの事件に3方向からメスを入れるという新しい試みの元に進められる。策謀から事件を追い詰めるブラックジャケット、神秘のヴェールを剥がす盤外視座、そして激戦の渦中に飛び込むグラッジドッグス。PLはこの3組織に属するPCを1人ずつ作り、事件に挑むのだ。
1話1話が映画のような展開をしていくだけでなく、最終話では思わず歓声を上げたくなるような胸の熱くなる展開が盛り込まれているのが魅力。度重なる激闘を乗り越えて、キミ達だけの“ゲーム”をスタイリッシュに作り上げよう!
■大どんでん返しの
レイドシナリオ!
しまうま
最後の最後までどう展開するかが分からない、ミステリー小説のような名作。沢山のNPCが登場し、様々な組織のキャラクターでプレイすることができる。
最後には所属組織が好きになること間違いなし!
Illustrated by: しょうた